一関の人工呼吸器の判決に対する疑問
 「岩手日報」の11月28日(夕刊)と、翌29日(朝刊)に、この裁判の模様が報道され
ました。 判決の内容は、記事から要約すると、「人工呼吸器の消音ボタンとメインスイ
ッチを間違えて押したとする捜査段階での藤村さんの供述調書は任意性があり信用で
きる」とし、禁固8カ月、執行猶予2年をいいわたしたものである。
 私のこの事件に対する最大の疑問は、患者の命を維持する重要な人工呼吸器が過
失が有ろうと無かろうと止まった場合、警報装置が作動するように作られていなかった
のだろうかということである。 常識的に考えれば、どんな理由があろうと人工呼吸器が
止まった場合、警報音が鳴り続け、警報ランプが点滅を繰り返し、正常に復帰するまで
警報装置が作動し続けるように作られるのが当然ではないだろうか、人の命にかかわ
ることである。 そのようにできていないとしたら、これは重大な欠陥をもった医療機器
といわざるをえない。
 このような欠陥のある医療機器を作ったメーカーの責任は、どうなっているのだろう。
このようなことについて、捜査当局はどのような追求をしたのだろうか。
 「間違ってメインスイッチを押した」という点について、メインスイッチを押せば、機器が
止まり、機器の作動音・振動音も止まり、患者は呼吸ができなくなる。その異状に気が
つかないうことがあるだろうか。それも、深夜の病室で、おそらく一瞬シーンとなることだ
ろう。 記事には無かったが事故死であるから司法解剖をしたと思うが、死亡推定時刻
との関連はどうなっているのだろうか。
 「自白調書」とされる供述調書の任意性について、憲法第38条では、「何人も、自己
に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には有罪とされ、又は刑罰は科せら
れない」としている。
 任意性があっても自白だけでは有罪とできないのが憲法の定めである。
「真昼の暗黒」ではないが、多くのえん罪事件で警察がどのような取り調べをやってき
たかは、広く社会的に知られていることである。
 被告にされた藤村さんは、新聞で「スイッチを切ったことはない納得がいかない」と語
っているが、警察での「自白調書」は任意性があり、新聞で語っていることは、弁護士
に強要されて語っているとでもいうのでしょうか。
 インターネットで「人工呼吸器」・「事故」をキーワードにして検索すると3770件ありま
した。それだけ大きな社会問題になっていることだと思います。
 医療現場で頑張っている看護師を苦しめるのではなく、事故をなくするにはどうすべき
か、という方向に社会的エネルギーを向けるべきだと思う。


            日本国民救援会岩手県本部事務局長     小松信彦(69歳)
            自宅   盛岡市西松園四丁目17−6
            TEL .019-662-8308  
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